会長挨拶
- 日本外科代謝栄養学会第55回学術集会
会長 土岐 祐一郎
大阪大学大学院 医学系研究科 消化器外科学 教授
このたび、日本外科代謝栄養学会第55回学術集会を平成 30(2018)年7月 5日(木)から 6日(金)まで大阪国際会議場にて開催させて頂くことになりました。われわれの教室としては、第19回(1982年)(神前 五郎、大阪大学 第二外科)、第29回(1992年)(森 武貞、大阪大学 第二外科)、第42回(2005年)(門田 守人、大阪大学病態制御外科)とこれまで3回にわたり開催させていただき、13年ぶりの開催となります。伝統と歴史のある本学会の会長を務めさせていただきますことは大変光栄で名誉あることであり、会員の皆様方に厚く御礼申し上げます。
私は、昭和60年に大阪大学医学部を卒業し、大阪大学第二外科に入局後、外科代謝栄養学会会長をなされた歴代の教授方のもと、外科手術における代謝栄養学、侵襲学の重要性について、学んでまいりました。現代の医療において、代謝栄養・侵襲に対する各種治療・支持療法は、がん治療、救急、小児外科領域など多くの分野において、患者QOLのみならず、予後にまで影響する可能性があることが認識されるようになってきました。本学会はまさに、その潮流を創出した基盤学会であり、代謝・栄養・侵襲について、上記全ての領域で学問することができる学術集会は本学会をおいてほかにないと思います。さらに今回は、外科侵襲学の基礎的・臨床的研究を発表する重要な研究会である『外科侵襲とサイトカイン研究会』も同時開催させていただきます。参加される皆様が、「代謝栄養学・侵襲学についてより深く研鑽できる学術集会だった」と感じてもらえるよう、教室一丸となって準備を進めてゆく所存です。
このたび学術集会のテーマは、『エンドポイントを見据えた外科代謝栄養学』としました。最近「エビデンス」という言葉が学会テーマで良く見受けられますが、「エビデンス」とは単なる統計学的に確認された事実であり、臨床的価値に直結しない時や後付けの解析で示されるときもあります。「エンドポイントを見据えた研究」とは患者さんが何を欲しているかを良く理解し、それを我々研究者が介入や観察により科学的に直接的に証明することで、明日の臨床を改善するという強い意思で行われる研究だと思います。外科代謝栄養学や侵襲学の研究は、多くの臨床パラメーターを含んでいるため、得られた統計学的有意差が「それが患者さんが本当に望んでいることなの?」と疑問を持ってしまうことがしばしばあります。しかし、この学会では、学会員の皆様が真剣勝負で医学の喉元にナイフを突きつけるような、核心に迫る研究の発表を期待しております。そして、参加されるさまざまな専門領域の医師・研究者・メディカルスタッフによる、エンドポイントを見据えた熱いディスカッションで学術集会を盛り上げていただきたいと思います。
会期中の大阪は梅雨が明け、とんでもなくむし暑い夏を迎えることになるかと思います。会場には是非とも涼しい装いで(ネクタイを外して)ご参加頂き、熱い討論をお願い致したく存じます。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げるとともに、本学会が実りあるものになることを祈念し、皆様方の温かいご支援とご協力をお願い申し上げます。
全国から多数の皆様のご来場をお待ちしております。